5月はタイヤ業界にとって、年間を通しても比較的落ち着いた時期と言えそう。しかし、特有の需要と販売傾向が見られる重要な月でもあります。特にGWを中心に、クルマでの長距離移動やレジャー利用が増えることから、タイヤの交換や点検が活発化する動きにあります。
まず地域によってはスタッドレスから夏用タイヤへの交換がようやく完了する時期です。東北地方や北海道など、雪解けが遅い地域では交換需要がピークを迎えます。
この流れを受けて、カー用品店やGSなどでは交換作業の予約が混み合い、同時に新品タイヤの販売機会も増えることになります。
GWのタイミングでは、安全面を意識するドライバーが増え、タイヤの溝が浅くなっている、ヒビが入ってきたなどを理由に買い替える需要も生まれます。その為に、高性能タイヤが比較的よく売れる傾向にあります。
一方でGWが過ぎると販売はやや落ち着くことに。GW後は消費者の支出意欲が一時的に下がることが多く、特に値引きやキャンペーンが無い通常価格の販売が鈍化しやすくなります。従い、在庫処分や夏本番に向けた先行セールなど目玉は注目です。
更に近年は燃料価格の高騰や電動車の普及なども影響し、低燃費タイヤや静音性に優れたモデルの需要が高まりつつあります。環境意識の高まりとともに、性能と価格のバランスを重視する購買が顕著になってきています。
総じて言えるのは、5月のタイヤ販売は天候、連休、地域性、そして経済状況など、複数の要因が絡み合う複雑な市場であるということです。シーズン終盤のスタッドレス処分、夏用タイヤの販売強化、そして梅雨入り前の整備提案など、戦略的な取り組みが成果を大きく左右します。