
厳しい寒さが続いています。生活面では負担に感じる人も多い一方で、タイヤ需要という観点から見ると、この冷え込みは決して悪い材料ではありません。むしろ、冬用タイヤ市場にとっては追い風となる側面を持っています。
一般的に冬タイヤの需要は、10月中旬頃から立ち上がり、12月中旬にかけて最盛期を迎えます。年末を境に交換作業や購入のピークは一段落し、1月以降は徐々にトーンダウンしていくのが例年の流れです。そして3月に入ると、季節の移行とともに需要の主役は夏タイヤへと移っていきます。
しかし、今シーズンに関しては、その定番パターンがやや崩れる可能性があります。全国的な寒さの厳しさに加え、断続的な降雪や路面凍結のニュースが続いていることで、ユーザーの警戒感が解け難い状況にあります。
その為に、年明け後も需要が急激に落ち込むことはなく、緩やかに継続する展開が予想されます。最盛期ほどの爆発的なボリュームは見込めないものの、例年と比較すれば明らかに動きは活発で、冬タイヤ需要はまだ本筋の流れにあると見ています。
需要が続くこと自体は市場にとって好材料ですが、同時に無視出来ない懸念点も存在します。それがサイズ供給の問題です。オールシーズンタイヤのように通年販売を前提とした製品であれば、比較的安定した在庫対応が可能ですが、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンはそうはいきません。
これらは明確な需要期製品であり、メーカーや流通は12月末のピークを一つの区切りとして生産・供給体制を絞っていきます。
その結果、需要は残っているにもかかわらず、特定サイズの販売が終了し、欲しくても物が無いという状況が起こりやすくなります。特に車種専用サイズや偏平率の高いサイズなどは、この傾向が顕著です。
ユーザー側の感覚では、まだ冬本番なのにと感じるタイミングでも、販売現場では選択肢が一気に狭まってしまうことがあります。
こうしたミスマッチは、毎年のように繰り返されているにもかかわらず、なかなか解消されません。だからこそ重要になるのが、需要が顕在化してからではなく、需要が読める段階での早めの判断です。
寒さが本格化してから動くのではなく、この冬は厳しくなりそうだと感じた時点で準備を進めることが、結果的に最も確実で無駄のない選択になります。
今シーズンは、特に需要の持続と供給の縮小が同時進行する可能性が高いと考えます。この状況を踏まえれば、スタッドレスやチェーンの購入は、出来る限り早めに動くことが賢明と言えるでしょう。需要が続く今だからこそ、供給リスクにも目を向けた行動が求められます。
