
3月が夏タイヤのキックオフと言われるのは、単に春が来るからというだけではありません。気温や道路状況、クルマの使い方にショップ、メーカーの動きなど、いろいろな要素が重なって本格的に夏タイヤの季節が始まる月になるからです。
その中でも、いちばん大きな理由は気温です。タイヤはゴムで出来ているので、気温によって性質が変わります。スタッドレスタイヤは寒い気温や雪道でしっかりグリップするように、やわらかいゴムが使われています。
しかし、気温が高くなると、その柔らかさが逆にデメリットになります。路面が乾いているのにゴムが柔らか過ぎると、ブレーキの効きが落ちたり、タイヤの減りが早くなったりします。
一方で夏タイヤは、暖かい気温の中で安定して走れるように製造されています。だから3月の気温になると、夏タイヤのほうが安心して使える環境になってくるのです。
次に道路状況です。多くの地域では、3月になると積雪や凍結の心配がかなり減ります。勿論、山間部や寒冷地では注意が必要です。それでも都市部では雪のリスクが小さくなります。その為、もうスタッドレスでなくてもいいかな、と考える人が増えます。このタイミングで履き替えの需要が一気に増えます。
更に、ショップやメーカーの動きも関係しています。タイヤショップは冬の間はスタッドレスを中心に販売していますが、3月に入ると売り場が夏タイヤ中心に切り替わります。新しいモデルが出ることも多く、広告やキャンペーンも始まります。メーカーにとっても、この時期が一年の大きなスタートになります。夏タイヤは販売数量がとても多いので、3月は重要な月なのです。
そしてユーザー側の事情もあります。3月は新生活の準備が多い時期です。クルマを買い替える人や、通勤、通学でクルマを使い始める人もいるでしょう。車検のタイミングと重なることもあり、どうせなら新品に、と考える人も増えます。そのため履き替えだけでなく、新しく購入する需要も動きます。
地域差もあります。北海道や東北などでは雪が残ることがあるので、本格的な履き替えは4月になることが多いかな。しかし、関東から西の地域では、3月中旬から下旬にかけてピークを迎えます。全国で見ると、3月が夏タイヤシーズンの始まりと考えられている理由はここにあります。
3月は気温が上がり、雪が減り、ショップやメーカーも夏タイヤ中心に動き出し、ユーザーも履き替えを考え始める月です。だから、この時期を夏タイヤのキックオフと呼びます。クルマの足元が冬仕様から春夏仕様へと切り替わる、大事なスタートのタイミングです。
