4WDでも迷わないタイヤチェーンの装着位置を正しく理解する

 タイヤチェーンの装着位置は、雪道や凍結路での安全性を左右するとても重要なポイントになります。タイヤチェーンは単なる補助具ではなく、クルマの駆動力と制動力を路面へ確実に伝える為の最後の砦とも言える存在です。

 基本として、チェーンは駆動輪に装着するものとされていますが、この判断はFFやFRのような2WDであれば迷いのない単純な話でも、4WDとなると一気に複雑に感じられることがあります。4WDは全部に付けるのか、前と後ろに1つずつ付けるのかなどと混乱する人もおり、正しい判断が出来ないとチェーンの効果が著しく損なわれてしまいます。

 まず大前提として、チェーン装着を誤ると、坂道での登坂性能は大きく低下し、コーナーでは外側に膨らみやすくなります。制動距離も伸び、想像以上に危険が増します。つまり、装着位置を間違えることは安全性を大きく損なう行為であり、雪道走行においては絶対に避けるべきです。

 それを前提に4WDはどう考えるべきかと言えば、実は非常にシンプルで、そのクルマがどちらを駆動のベースにしているかで判断出来ます。4WDといっても常時前後が完全に均等に駆動するのではなく、ほとんどの市販車はトルク配分に「主」が存在します。前輪に多く配分するFFベース、後輪に多く配分するFRベースのどちらかという訳です。

 そして厳密な答えを確認する為の最良の方法は、愛車の取扱説明書(オーナーズマニュアル)を読むことです。

 実際、多くの人が想像以上にこの説明書を開いたことがなく、空気圧の基準値やホイールナットの規定トルク、ジャッキアップポイントといった基本で重要な情報さえ把握していないケースが少なくありません。チェーンの装着位置についても例外ではなく、必ず明確に記載されています。

 例えば、古いのですが身近な例として軽トラックのホンダ「アクティ」の取扱説明書を見ると、2WDでも4WDでも後輪に装着するよう指示されています。前輪への装着は禁止であり、軽トラックの駆動特性に基づいた明確な結論が示されています。

 一方で乗用車の例としてホンダ「アコード ユーロR」の取扱説明書を確認すると、これはFFベースの前輪駆動です。取扱説明書には4WDに関する記載もあり、4WDモデルであっても装着するのは前輪とされています。ここにも、駆動の主がどちらにあるか、という考え方がになっています。

 つまり、4WDにおけるチェーン装着の結論は、そのクルマのトルク配分が大きい軸に装着するという点に集約されます。FFベースであれば前輪へ、FRベースであれば後輪へ、これだけを押さえておけば迷う必要はありません。

 自分の車がどちらのベースなのかを曖昧なまま判断してはいけません。確かな情報源は取扱説明書で確認したいものです。

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