タイヤチェーンは買って終わりじゃない。試装着で本当の安心を

 最新モデルのタイヤチェーンを手に入れたなら、ひとまず安心‥ そう思いたくなります。新たなチェーン規制にも対応しているし、イザという時にも万全なはずだと。

 しかし、ここで大切なのは正しく装着出来るかどうかです。どれほど性能の高いチェーンでも、取り付けが適切でなければ本来の効果を発揮出来ません。言ってしまえば、高性能な道具を持ちながら、その使い方を知らないままにしておくようなものです。

 チェーンは必ず本番前に1度、落ち着いた環境で試装着をしてみることが重要です。普段なら簡単に思える作業でも、雪が積もり、冷たく湿った風が吹きつけ、路面が滑りやすい状況の中では思うように手が動かないことがあります。

 布製や非金属タイプであっても、意外に向きが分かり難かったり、引っ掛け具の位置が確認し難かったりと、慣れていないと戸惑う要素は残っています。

 本番の現場では路面は濡れ、手袋は汚れ、屈んだ膝は冷たさを吸収しながら体温を奪います。そういった環境を想像してみるだけで、やはり落ち着いた場所での予行演習がいかに大切かが分かります。

 場合によっては膝をついても濡れないようにレジャーシート、手先を動かしやすくて汚れにも強いロングタイプの手袋など、補助用具も事前に準備しておくと安心です。

 説明書は必ず最初に読み、工程を1度頭の中で整理してから作業に入るのが理想です。なんとなく分かった気で取り掛かると、チェーンの表裏を逆にしたり、固定部品の一つを止め忘れたりというミスが起こりやすくなります。

 こうした小さなミスは、走行中に緩みを生み、チェーンが外れる危険へと直結します。もし外れてしまえばタイヤハウスやボディを傷つけることもあり、単に性能が落ちるだけでは済まなくなります。

 試装着が終わったら、必ず短い距離でも試走をして確認します。数メートルでも前後に動かしてから再度締まり具の状態を確かめることで、緩みがないかどうかが分かります。余裕があれば近所を1周できると更に安心です。

 ここで確かに自分は装着出来るという自信を得ることが出来れば、雪の現場で焦る必要もなくなります。

 もし試装着の段階でやり難い、ここは分かり難いと感じる点があれば、その場で解決すればいいのです。本番前に気付けたということは、大きな安心に繋がります。逆に何も確認しないまま雪道で初めてチェーンを手に取ることになれば、時間も気力も必要以上に失われてしまいます。

 だからこそ、最新チェーンであっても、性能に自信があっても、必ず試装着を行うことが大切です。装着の理解、手順の把握、そして本番で迷わないための確認。それらが揃って初めて、高性能チェーンは真価を発揮します。

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