
NEXCO東日本東北支社が2025年11月上旬に実施した冬用タイヤ装着率調査は、東北地方で冬が本格化する前のタイミングに、道路利用者がどの程度冬の備えを進めているかを把握する目的で行われました。
調査期間は11月4日~7日までの4日間で、東北6県の高速道路を走行している一般車両を対象に、冬用タイヤ装着の有無を確認するという形で進められました。
今年は秋の寒暖差が特に大きく、地域によって冬の訪れにばらつきが見られた為に、例年よりも交換のタイミングに差が出やすいと予想されており、その点でも今回の調査結果は注目されていました。
結果として、東北地方全体の冬用タイヤ装着率は38.0%となり、全体としては4割弱の車両しか交換を終えていない状況が明らかになりました。東北地方としてはやや低めの数字であり、早い県と遅い県の差が例年以上に大きくなっていることが特徴です。
青森県:56.3%
岩手県:51.3%
秋田県:52.2%
宮城県:33.3%
山形県:47.4%
福島県:27.0%
青森県、秋田県、岩手県は半数以上が冬用タイヤに切り替えており、山形県も比較的高い装着率を示しました。一方、太平洋側で比較的雪の本格化が遅れがちな宮城県、福島県は低い水準にとどまり、多くの車両がまだ夏タイヤのまま高速道路を走行している状況が確認されました。
NEXCO東日本東北支社では、こうした地域差や全体の低めの装着率を踏まえ、早期の冬用タイヤ交換を強く呼びかけています。11月は気温が急激に低下しやすく、日中は乾いた路面でも、夜間から早朝にかけては橋梁部や日陰部分を中心に見た目では分かり難いブラックアイスバーンが発生することがあります。
このような凍結路面では夏タイヤはもちろん、摩耗が進んだ冬用タイヤでも十分なグリップ力を発揮出来ず、スリップ事故が増える要因になります。高速道路では1台のスリップが連鎖的に事故や渋滞に繋がることも多い為に、積雪が本格化する前の交換がとても重要だと説明しています。
また、冬用タイヤを装着するだけで安心するのではなく、タイヤの状態そのものを確実にチェックすることも必要だと呼びかけています。ナットの締め付けが適正かどうか、空気圧がメーカー推奨値に保たれているかどうか、そしてタイヤ溝が十分に残っているかどうか等を確認することが特に重要とされています。
スタッドレスは新品から半分程度の溝深さ、つまりおおむね5mm前後になると氷雪路面での性能が大きく低下するので、見た目にまだ使えるように見えても早めの交換を検討すべきだとされています。摩耗したタイヤでは制動距離が伸びたり、カーブで横滑りが起こりやすくなったりする為、結果として事故リスクが高まります。
更に、冬道では運転そのものも慎重さが求められます。急ブレーキや急発進、急ハンドルといった操作を避け、前方車両との車間距離を十分確保し、路面状況をよく観察しながら走行することが安全運転に繋がります。
11月~12月にかけては、みぞれ交じりの降雪や突然の路面凍結など、天候と路面の状態が非常に変化しやすい時期であり、冬用タイヤの装着に加えて運転者の心構えも重要になります。

