あまりクルマに乗らない人ほど、実はオールシーズンタイヤの恩恵を受けやすいという点は、一般的なタイヤ選びのイメージと少し違って聞こえるかもしれません。
しかし、日常の使い方や維持管理の手間、冬のちょっとした悪天候への備えなどを丁寧に重ねていくと、このタイプのタイヤが持つ特性は、乗る頻度が少ないユーザーと極めて相性が良いことが分かります。
オールシーズンがまず発揮する価値は、季節ごとの履き替え負担を大きく軽減できる点です。頻繁にクルマを使う人はもちろんメリットを感じますが、使用頻度が少ない人にとっては、この交換作業そのものが不要になるという効果がより大きく響きます。
毎シーズン予約を取り、保管場所を確保し、交換後のタイヤをまた運ぶ‥ この一連の作業は、乗る頻度が少ないほど負担としての比率が高くなるので、1年を通して1本化できる安心感はとても大きいものになります。
更に、クルマをあまり動かさない人が意外と見落としがちなのが、タイヤの経年劣化です。走行距離が短いから減らない、という考え方は半分正しく半分誤解であり、タイヤは放置しているだけでも年月とともに硬化して性能が低下します。
オールシーズンは元々コンパウンドが幅広い温度域で柔軟性を保つよう設計されている為に、稼働率が低くても性能低下を感じ難く、特にゴムの硬化が出やすい低走行ユーザーには相対的に扱いやすい性質を持っています。
また、雪国ではない地域に住んでいる場合、年に1度あるかどうかのうっすらとした雪、早朝の凍結、急な雨と冷え込みのような状況でも、オールシーズンは夏タイヤに比べて格段に安心感があります。
普段ほとんど乗らなくても、いざ必要な時に天候が悪かったという場面は決して珍しくなく、その1回のリスクを大幅に下げてくれることは使用頻度に関係なく価値があります。かと言ってスタッドレスを別に用意するほどでもない、という層にぴったり重なるのがオールシーズンという存在です。
加えて、低走行ユーザーが気にしやすい消費コストは、タイヤ交換の手間が減るだけでなく、結果として費用面でも無駄が起こり難くなります。
スタッドレスは使用する期間が短いほど劣化と性能低下の割合が大きく、使い切る前に寿命を迎えやすいのに対し、オールシーズンは1年中使う為ゴムのサイクルが自然で、タイヤを最後まで活かしやすい構造になっています。
クルマに乗らない期間が長くても、タイヤの使用年数をきちんと消化しやすいのは大きな利点と言えます。
これらから、クルマをあまり運転しない人にとってオールシーズンは、維持の手間、保管の問題、経年劣化への強さ、思いがけない悪天候への備えと言った複数の側面が自然に重なり、実際の利用シーンと非常に噛み合うタイヤと言えます。
普段乗らないからこそ、いつ乗っても安心出来る状態を1年中保てるという点は、オールシーズンが持つ本質的な価値の1つです。