スタッドレスタイヤは4輪必須! 駆動輪だけでは危険がいっぱい

 スタッドレスタイヤを4輪すべてに装着することがなぜ重要なのかを理解する為には、雪道や凍結路面でクルマがどのように動いているのかを知る必要があります。

 クルマは走る、曲がる、止まるという基本の動作をすべてタイヤの摩擦力に頼っている為に、前後どちらかの2本だけをスタッドレスにしてしまうと、そのバランスが一気に崩れてしまいます。

 発進だけは問題なく出来ても、いざ曲がろうとした時や止まろうとした瞬間に、夏タイヤ側が踏ん張れずスリップしてしまい、ドライバーの意思ではどうにもならない状況に陥ることが多いのです。

 例えば、前輪駆動車(FF)では、前だけスタッドレスを履かせると発進や上り坂では普通に走れてしまうので安心しがちですが、カーブや下り坂では後輪が横に流れやすくなり、車体の後ろが外側へ振られスピンにつながる危険が高まります。

 逆に後輪駆動車(FR)で後ろだけをスタッドレスにすると、今度は曲がる時に前輪が滑りやすくなり、ハンドルを切ってもクルマが思った方向へ進まないアンダーステアが突然起きてしまいます。

 どちらの場合も、4本のタイヤが同じように路面をつかんでいないことが原因で、コントロールを失うリスクが急激に高まります。

 特に問題になるのが止まる時の挙動です。ブレーキを踏んだ際、4輪が均等にグリップしていないと制動距離が大きく伸びてしまいます。駆動輪側だけがしっかり効いても、それ以外の2本が滑っていてはクルマ全体は止まりきれず、ABSが作動しても安定性は保てません。雪道ではわずか数メートルの差が事故を招く為に、この止まれないという弱点は非常に危険です。

 都市部のように雪への備えが少ない地域では、こうした挙動に不慣れなドライバーが多いので、より大きな事故に繋がりやすくなります。

 また、現代のクルマに搭載されている横滑り防止装置やトラクションコントロールは、4輪がある程度均等にグリップしていることを前提として作動します。2本だけがスタッドレスで他が夏タイヤという状態では、電子制御が想定している動きから外れ、制御が追いつかないことが珍しくありません。特にミニバンやSUVのように重量が大きいほど、一度滑り始めた時の挙動を取り戻すのが難しくなります。

 更に厄介なのは、冬の道路が常に真っ白ではないという点です。橋の上だけ凍っている、日陰のカーブだけツルツルになっている、夕方から急に路面温度が下がるといった部分的に危険な場所は冬によくあります。

 ドライ路面を走っていて安心した瞬間に、突然凍った部分に乗ってしまうことも多く、部分装着では対応が追いつきません。4輪全てがスタッドレスなら、こうした急な路面変化にも安定して対応出来ます。

 では4輪装着なら製品がバラバラでもいい? 例えば前後で異なるなど。これも宜しくない。同一メーカーであっても製品毎に性能は異なります。トレッド面を見るとデザインの違いは明確、これにより性能差が生じます。クルマは4輪でバランスを取り走行しています。走行バランスが崩れ不安定となり危険です。

 更にパターンが同一でもコンパウンドの異なる製品が出ています。これは? 結論から言えばやはり同一のコンパウンドであるべきと思います。異なることで効きの違いがやはり懸念されます。

 もうひとつ、同一銘柄ながらどちらかを新品だけ、というのも避けたい。古い製品は既に摩耗劣化が生じているはず。従って新品に比較し性能レベルは低下しており走行バランスに影響します。1本だけ、というのも同様です。

 摩耗劣化が見られるのならローテーションが有効です。それでも差が激しくなったのなら4本とも新品へ交換しましょう。

 スタッドレスに限らずタイヤは、基本的に4本全て同じ銘柄を使うのが基本です。銘柄が異なることによって走行性能に差が生じ、走行時の安定感が損なわれてしまいます。

 このように、スタッドレスの4輪装着は単なる推奨ではなく、冬道を安全に走るための最低条件です。発進、旋回、停止の全てを安定して行うには4本すべてが冬用であることが欠かせません。万が一の降雪への備えとしても、自分や同乗者を守るという意味でも、4輪装着は確かな安全に繋がります。

 国交省が スタッドレスは4輪すべてに装着して下さい!! という呼びかけを行いました。以下にリンクした動画で解説しているので観て欲しい。古いですけど‥

スタッドレスタイヤは4輪全てに装着して欲しい
国交省が スタッドレスタイヤは4輪すべてに装着して下さい!! という呼びかけを行いました。その内容を動画で解説しているので観て欲し…
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