アイスグリップシンボルとは、タイヤが氷や雪の路面、特に氷上で一定の性能基準を満たしていることを示す国際的な認証マークです。正式には「氷上性能認証シンボル」とも呼ばれています。
このシンボルは欧州、特に北欧系の冬用タイヤブランドで認証マークを採用し始めているらしいっす。と言うのは、スタッドレスタイヤや一部のオールシーズンタイヤが本当に氷上での制動性能を備えているかどうかを、消費者に分かりやすく伝えるために作られた制度だからです。
このシンボルが作られた背景には、従来から存在する「スリーピーク・マウンテン・スノーフレークマーク(3PMSF)」という国際基準のマークが、雪上性能しか評価しておらず、氷上でのグリップや制動性能を保証していなかったという問題があります。
雪上と氷上では路面の特性がまったく異なります。雪上では圧雪や新雪をかき出すトレッドパターンが重要です。しかし、氷上では低温でも柔らかさを保つゴム素材や、細かいサイプの設計など、別の技術が必要になります。
こうした違いを踏まえ、日本では国連規定(UN R117)に準拠する形で、日本自動車タイヤ協会(JATMA)が独自の試験手順を整備しました。JATMAの基準とUN R117の氷上性能試験は、技術的に互換性があります。つまり、JATMAの基準で認証を受けたタイヤは、国際的にも氷上性能が証明された製品と言えます。
試験方法は、氷盤上での制動距離を測定するというものです。例えば20km/hの速度から完全に停止するまでの距離を測り、基準となるリファレンスタイヤ(標準性能タイヤ)と比較します。一定以上の性能差が認められた場合にのみ、そのタイヤにアイスグリップシンボルが与えられます。
この制度によって、消費者は冬用と表示されているタイヤの中でも、実際に氷上での安全性が確認された製品を見分けることが出来るようになりました。
また、世界的なタイヤメーカーの多くがこの認証を取得し始めており、スタッドレスやオールシーズンの開発競争も雪上性能だけでなく氷上性能に重点を置く時代へと移りつつあります。
このように、アイスグリップシンボルは単なるマークではなく、氷上での安全性と性能を科学的に証明する信頼の証です。冬用タイヤ市場において品質向上と安全性の向上を促す、非常に重要な役割を果たしています。