気温7℃の壁 ― 雪が降らなくてもスタッドレスが必要な理由

 スタッドレスタイヤへの交換はいつ頃行えばいい? 悩みます。北海道なら10月中旬頃からでは。東北でも11月に入るとその動き始まります。地域によって異なります。

 例えば東北地方の冬用タイヤ装着率調査。これによると11月1週目が20%弱、11月中旬で50%を超える。11月下旬から12月上旬で90%など。例年こんなもんでしょ。これも一つの目安になるかと。

そのタイミング気温7℃を目安にしたらいい!

 雪さえ降らなければ、まだ夏タイヤのままでいいのでは? と思う人は少なくありません。しかし実際には、それほど単純ではありません。

 夏タイヤは気温が下がるにつれてゴムが硬くなり、グリップ力の低下が避けられないのです。特に気温が10℃を下回るころから、その変化は明確に現れ、制動距離の延びやハンドリング性能の低下が見られるようになります。

 一方で、スタッドレスタイヤは低温でも柔らかさを保つように設計されています。使用されるゴムは天然ゴムの割合が多く、さらにシリカや柔軟性を維持するための特殊な化合物が配合されています。

 これにより、氷点下でも分子レベルでの硬化を防ぎ、路面との密着性をしっかりと確保します。製品によっては、なんと-80℃の極寒状態でも硬度の変化がほとんど無いとされています。こうした温度変化に対して一定の柔らかさを維持する性質こそが、冬場の安全性を支えているのです。

 では、雪が降っていない場合でも、どのタイミングでスタッドレスタイヤに交換すべきなのでしょうか。ここで注目すべきなのが「外気温7℃」という目安です。ドイツの大手タイヤメーカー、コンチネンタルは気温が7℃を下回る季節にはスタッドレスへの交換を推奨すると明言しています。

 その理由は、気温7℃を境に空気中の分子運動が鈍くなり、ゴムの柔軟性を保つための分子の動きも制限されてしまうためです。つまり、7℃を下回ると夏タイヤのゴムは急激に硬化し、グリップ性能が大きく低下してしまうのです。

 コンチネンタルの調査データによると、外気温0℃のドライ路面で比較した場合、夏タイヤの制動距離はスタッドレスタイヤよりも約3メートル長くなります。気温が-10℃になるとその差は7メートル、-20℃ではなんと12メートルにも広がるという結果が出ています。

 これは氷や雪のない普通の冷たいアスファルト路面でも起こる現象であり、低温時におけるゴム性能の差が安全性に直結していることを示しています。

 ピレリも同様に、外気温が7℃を下回る状況では、路面がウェットでもドライでも雪でも、スタッドレスタイヤの方が確実に安全としています。

 つまり、スタッドレスタイヤは単なる雪道用タイヤではなく、低温対応タイヤなのです。従って、冬のタイヤ交換の判断基準は雪が降るかどうかではなく、気温が7℃を下回るかどうかで決めるのが理想的だと言えます。

データによる検討開始や具体的指定月日も!

 ヨコハマは、スタッドレスタイヤを買う検討月について調査結果を公開しています。ただ大分古い、推定すると2007年頃かな。一昔前とも言えるので参考、ただその後で大きな変化はないでしょ。

 データによると、購入を検討する月は真夏の8月が「2.6%」、9月は「7.9%」。そして10月は「28.9%」と最大、11月は「23.7%」、12月が「15.8%」です。年が明け1月は「2.6%」、その他が「18.5%」です。実質9月 ~ 11月の3ヶ月で60%を超える。

 ■ダンロップからはこんなデータ、というか推奨時期を明確にしたものを公表しています。それによると雪が降る1カ月前の交換を推奨! そのメリットは3つあるという。①急な雪でも焦らない。②早めの交換ならショップの待ち時間も在庫も心配ない。③早めに交換し慣らしたタイヤなら本来の性能が発揮出来る。

 興味深いのはタイヤ交換の目安とする平年の初雪観測日1ヶ月前を、具体的月日で指定していること。「タイヤの衣替えカレンダー」として都道府県別(全部ではない)に確認することが可能です。

 例えば、北海道札幌市なら平年の初雪は11月1日、この1ヶ月前10月1日がタイヤの衣替え日となっています。東京では平年1月3日が初雪、なのでタイヤの衣替え日は12月3日です。ある意味明確で的を射ているので参考にしてみては。

 ■ブリヂストンからも独自の交換推奨期間を示します。ほぼほぼダンロップ同様と判断できそう。「あなたの地方の初雪日・タイヤ交換日をチェック!」から確認出来ます。

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