突然大気が不安定になり何やら涼しい風が吹いて来た。徐々に空が暗くなり怪しさ最大化した時、激しい雨が降り出します。雨、雨、雨!! 特に午後から夕方に掛けて起こりやすい。いわゆるゲリラ豪雨です。
これは大変。バケツをひっくり返したような、と言われるけれど正にそう。こうなると視界は不良、そしてあっという間に冠水しクルマの走行も危険に。ヘビーウェットなんかのレベルじゃない。水中走行そのものです。
こんな時、無茶は絶対にせず慎重に走行したい。ただ慎重に、と言ってもいったいどうすれば? 一気に突撃する、それとも行かないでUターン?
クルマで走行中にゲリラ豪雨に遭遇した場合、まず意識すべきは視界、クルマの安定性、水没の危険性、の三つです。
ゲリラ豪雨は降り始めから数分で道路を冠水させるほどの雨量になることがあり、一般的な雨とはまったく違う危険度を持っています。視界は急速に悪化し、ワイパーを最速にしても前が見えない程になり、加えて路面は一瞬で滑りやすくなります。
従って、まずは急ブレーキを避けつつ速度を落とし、ハザードランプを点けて後続車に自分の存在を知らせることが重要です。速度を落とす理由は単に安全の為だけでなく、タイヤの排水性能を最大限に活かす為でもあります。
高速走行でも危険が襲います。ハイドロプレーニングの可能性です。タイヤが水膜に乗りあげ、溝に流れる水がオーバーフローで排水が困難に。こうなるとステアリングとブレーキ操作が不能に陥ります。
避けるには走行中にゴゴゴ、ゴゴゴという水しぶきがクルマのボトムに当たる音が聞こえるなら、速度を落とす必要があります。
視界が極端に悪化した場合は、走行を続けるよりも安全な場所に停車する方が賢明です。但し、高速道路では路肩に停めるのは非常に危険で、後続車に追突される恐れがあります。その為、出来ればSAやPAなどに避難するのが理想です。
冠水の恐れがある低地やアンダーパス、川沿いの道路は決して停車場所に選んではいけません。ゲリラ豪雨は短時間で水位が急上昇する為に、停まった場所が数分で冠水しドアが開かなくなるほど水圧がかかるケースもあります。
また、冠水した道路を通過するのは非常に危険です。水深がタイヤの半分を超えるとエンジンの吸気口から水を吸い込み、エンジンが停止してしまうリスクが高まります。一般に行ける判断はタイヤの1/3位までの浸水が限界かと。クルマのボトムが着水するようなら避けるべき。水位不明では絶対行きません。
更に、水の中ではマンホールの蓋が外れていたり、見えない段差や溝があったりすることもあります。たとえ前方のクルマが進んでいても、自分の車高やエンジン位置、タイヤ性能を考えずに突入するのは避けるべきです。
水が濁っている場合は深さを正確に判断出来ず、想定以上に深いことも珍しくありません。もし走行中にエンジンが停止した場合は無理に再始動せず、避難を優先することが命を守る行動になります。
停車してやり過ごす際には、雨が弱まるまで無理に発進しない方が安全です。ゲリラ豪雨は10~30分程度でピークが過ぎることが多く、その間に無理に動くよりも、視界と路面状況が回復してから再出発する方が事故のリスクは低くなります。
特に夕方や夜間は視界不良と周囲の水しぶきによる反射が重なり、想像以上に危険が増すので注意が必要です。
遭遇時の行動の基本は、速度を落とす、後続に存在を知らせる、安全な場所に退避する、冠水路は絶対に避ける、の四つに集約されます。そして一番大切なのは、走り続けることよりも、安全な場所で雨が通り過ぎるのを待つ勇気を持つことです。
冷静さを保ちながら安全を最優先に考え適切な対応をすることで、ゲリラ豪雨の被害を最小限に抑えることが出来ます。