カーボンニュートラルに向けたタイヤ変革の動き

 ミシュランが発表したプレミアムコンフォートタイヤ「e・PRIMACY(イー プライマシー)」、対象は電動車だという。電動車って何? EVカーのみではなく、これを含みモーターを駆動に採用したクルマのこと。EVは勿論、ハイブリッドやプラグインハイブリッド(PHEV)、燃料電池車(FCEV)など。

 投入はカーボンニュートラルに向けてを強調! カーボン? ニュートラル? 分からん! ただこの動きタイヤを取り巻く環境が激変しそうな予感です。

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ダメージはまたスポーツタイヤか‥

 まずはカーボンニュートラルを整理しましょ。炭素(カーボン)の排出を完全ゼロに抑えることは現実的に難しい。その為に排出した分の同じ量を吸収または除去することで、差し引きゼロを目指すというもの。ニュートラルは中立を意味する、と考えていいのかな。

 炭素(カーボン)とは温室効果ガス、つまりCO2、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスなど。

 この実現を目指す為に、クルマ業界で加速する電動化の流れが電動車という発想。そこから更に進み将来的にはEVまたは燃料電池車(FCEV)のみにするという。これに沿うタイヤの提案としてミシュラン「e・PRIMACY」がそのひとつになる。

 ただEV専用へ向けた投入は既に実現しています。例えば、ブリヂストン「ECOPIA EV-01」がそれ。ノイズを抑えEVで高い静粛性を実現、EV特有の偏摩耗を抑制しライフ性能に配慮など、EVの特性に対応性を示したもの。2012年11月投入。

 で、ここからが本題。電動車からEVや燃料電池車に市場は傾倒。その結果、タイヤも必然的に環境配慮型の最上級へ変革。製造、使用、廃棄まで環境性能を発揮。これが本筋となる。

 実はこの流れ、2010年に導入が開始された低燃費タイヤの発想を更に強化するものになるかと。一方でタイヤの基本系であるはずのスポーツタイヤにとっては暗黒時代に突入となる訳です。

 2010年に低燃費タイヤが導入開始になりその前後5年程かと。いや既にバブル崩壊後に始まっていた。それまでの豪華なバブルカーから一転し低燃費化が顕著に進み、当然ながらタイヤもその流れへ。

 当時は世界的風潮としてCO2排出量の削減が叫ばれ始めた頃。環境への取り組みにメーカー主張を強める必要があった。クルマ業界は大きな役割を持たせられ、一角に属すタイヤメーカーにも責務が課せられました。こんな事情がきっかけで出現したのがエコタイヤ、更に完了形が低燃費タイヤになります。

 ブリヂストンとヨコハマのカタログ、2007年シーズンを見てみた。いずれもエコの文字が多数、表紙からしてそう。製品展開トップに来るブランドは、ブリヂストンが「REGNO」、ヨコハマは「DNA」です。特にヨコハマはスポーツとSUV以外は「DNA」のブランドがかならず添えられる展開です。恐らくダンロップ、トーヨーなども同様だったかと。

 低燃費タイヤの普及は2014年に第2世代入り、60%を超え一定の成果を確認しました。これで呪縛からは開放され、スポーツが飛躍的な主張復活を遂げたのは2015年シーズンから。フラッグシップとなる展開が戻り、本質の追求がようやく復活した訳です。

 そしてスポーツにも低燃費タイヤの投入が実現。必ずしも低燃費タイヤのみが高性能で素晴らしい、とは言い切れないけれど、普及が進む現在、タイヤ選択の基準となっていることは間違いない。一定要件を満たすには相応の技術搭載が必要、しかも相反する性能のレベルが高いほど実現は困難を極めます。その一つがスポーツタイヤです。

 スポーツタイヤは、ブロック面を広く確保し接地性を稼ぎ高いグリップ性能を得ています。その結果、加速や制動、コーナリングを高次元で実現します。抵抗の大きさ、と言っていいかな、低燃費とは間逆の方向です。スポーツカテゴリーにおける低燃費タイヤ化が果たされて来なかった理由としてここポイントになるのでは。

 2016年にヨコハマが投入した「ADVAN FLEVA V701」がようやくその殻を破りました。この意味は非常に大きい。位置付けは圧倒的グリップ性能を誇るピュアスポーツには届いていないものの、街中での快適性とスポーツ性能を底辺から支える懐の広い製品として、カテゴリー内での新たなポジションを強調します。

 流れは全体へ波及、低燃費に凝り固められた主張はカテゴリー本来の特性へ回帰、低燃費を含めたタイヤの本質、多様性を取り戻します。

 SUVタイヤへの実現も同様かと。M+Sなどの冬用性能を搭載するケース多いのが足枷でした。従って導入開始以来実現を果たしてこなかったんです。しかし、2014年にミシュラン「LATITUDE Sport3」が、SUVカテゴリーとしては初めて低燃費タイヤの規定を満たします。そして2015年にはトーヨー「PROXES CF2 SUV」が続きます。

 ある意味規定を満たすことで性能縮小化に割り切らなければならないのなら、意味は薄いと考えます。その結果が投入への消極性になっていたとも言えそう。

 ただカーボンニュートラル、というのはどうも懲り固まった発想の匂いがします。従って低燃費タイヤの出現期以上にスポーツカテゴリーにとっては逆風を強く感じます。取り囲み厳しい。そもそも装着するクルマあるの?

 まとまらないけれどグダグダ考えてみました。

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